吹雪の作業所

2023年01月27日

今週は10年に一度の大寒波に見舞われ、飛騨地方も大雪だった。
特に水曜日は未明の時間に一気に降り積もって、その後も断続的に雪が吹きつける極寒の一日になった。
とはいえ、雪国の飛騨地方としては標準的な雪の光景。事前情報を受けて迎えの車を1時間遅らせる対応を取ったため、焦ることなく作業所に着くことができた。
フロアではスタッフが2名、準備万端で利用者をお迎えしていた。いつものように中から椅子をもらって中履きに履き替えると、スタッフが出てきて僕の冬用靴を取り上げる。
「雪で濡れるから、中へ入れた方がいいですよね」
この作業所は後付のスロープが隙間だらけで、その日のように風を伴う雪は防ぎきれない。外側に設置した棚はもちろん、内側に避難させても雪をかぶってしまうから、ということらしい。
スタッフが僕の靴と他の人のもフロアに入れ、入り口付近の机の下に固め置く。スロープ側から出入りする人だけの特別措置。
自分の靴が気になってそちらを見ていると、車椅子の人がスロープから入ってきた。彼らに対しては、スタッフが車椅子の車輪周りや床の雪と水分を丁寧に拭き取ってお出迎え。どうしても雪をかぶってしまう車椅子の人も、対応するスタッフも大変だと感じた。
その日はいきなりの雪だったけど欠勤も遅刻も少なく、いつもの顔はだいたい見受けられた。どういうことなのか、一部の人は到着時には作業を始めていて、そのあおりで僕は普段と違う場所で作業をすることになった。
悪天候の日ならではの仕事が増えてスタッフはバタバタとし、ちゃんとした朝礼をしないまま10時少し前に作業開始の号令がかけられた。
僕はタイムカード横の即席の机にノートパソコンを準備して、作業開始とともにUSBメモリーを受け取る。立ち上げに時間がかかるから、一秒でも早く作業を始めたかった。
保存したワード文書が表示されるのを待っていると、うしろの方からこんな声が聞こえる。
「10時になりました。お休みする」
知的の子がそれぞれの言い方で合唱するのがおかしかった。もちろん、スタッフは彼らの要求をぴしゃりと跳ね除ける。
「始まったばかりです。お休みしません」
そう言ってくれてありがたかった。その日は一部早く始めた人が途中で休憩したから分かりにくく、どうするのか不安な部分も確かにあった。
結局、大多数の利用者は休憩なしで午前中働き、僕は1時間半くらい集中してPCに向かうことができた。うしろで、飲み物を飲む場所を注意する声が聴こえたけど気にしない。
帰りはいつもの時間にタイムカードを打ち、理事長の運転で送ってもらった。街は白い雪にすっかり埋まりながらも、作業所の日常はしっかりと回っていた。
あと半月は雪と寒さが続くのだろうが、ここのスタッフを信頼して大丈夫そうだ。
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