最後の雪

2024年03月24日

今年の春は焦らされる。
作業所利用者の誰かが言っていた。今年は2月よりも3月の方が雪が降るな、と。
その通りだと思う。

今週も雪が降った。朝起きたら予想外の積雪があって、出勤するのにスノーブーツを戸棚から引っ張り出した。
その翌日は一転して陽が差し、スニーカーで街へ出かけられるくらいに。これならもう積もらないと思ったら、また次の日は雪。それもしっかりと積雪があって、軽く雪またじが必要だった。
湿気を含んだ重たい雪で、わずかな時間なのに手こずった。思いのほか疲れて、昼を食べてからベッドで昼寝した。その日は天気が悪かったこともあって、雪またじ以外では外に出なかった。
こんな出不精は久しぶりだった。焦らされすぎて、春を全く感じられなかった。

でも僕の通う作業所では確実に春が近づいていた。
女性スタッフが一人増えた。身体の利用者が数名、継続的に顔を出すようになった。
それを単純に喜んでばかりはいられない。
別のスタッフが一人、辞めるようだ。利用者に関しても、あの人の顔を最近見なくなった。勤め先が決まって卒業というケースもあれば、病気に負けて働けなくなったと推測されるケースもある。
去る人はほとんど挨拶などしない。黙って目の前から消えていく。
そういうものにしたくないと思っても、個々人でどうにかできる事象ではない。所詮、それだけの関係にすぎないのだ。

最後になるであろう雪は突然降って、一日後にはあらかた消えた。
それだけの関係性しか結ばない。
今後は雨が降るようになって、どんどん雪解けが進むだろう。待ち焦がれた春を前にすれば、僕たちの誰も、消え行く雪を顧みたりはしない。

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