仮義足で富山

くろねこ

2021年01月23日 08:39



歩けるようになった2日後。

 

筆者はもう、仮義足と松葉杖2本で富山へ。

 

まだ早いかな、と思ったけど、車いすの選択はなかった。

 

やっとで一つ、お母さんの負担を減らすことができる。

 

それは必然の流れだった。

 

お母さんに駅まで送ってもらって、誰の手も借りずに車を降りた。

 

自信がないから、歩きの大部分を松葉杖に頼る。

 

後にも先にも、この時だけだ。

 

松葉杖を突いて富山の病院へ行ってきたのは。

 

車いすと違って、切符売り場でも改札でも、駅員さんが声をかけてくることはない。

 

例え松葉杖で手帳持参でも、特別ではないわけだ。

 

地味に嬉しい反面、そこから先は他人を頼れない世界でもあった。

 

その時点ではまだ、ホームの案内板が見えなかった。

 

エレベーターの行き先ボタンもまともに押せなかった。

 

両手の塞がる松葉杖に四苦八苦した。

 

何度か通ったから、目的地へ行けただけ。

 

この時の筆者には、寄り道するような心の余裕はなかった。

 

なるべく最短ルートで病院へ向かった。

 

義足で現れた筆者に、女医先生。

 

「お、歩けるようになったんですね」

 

くらいの反応ではあったけど、温かい言葉だと思った。

 

目だけでなく、足の方も頑張っている。

 

そう印象付けられたかどうかはともかく。

 

それまで半月に一度の頻度だったのを、月に一度にしてくれた。

 

義足で歩けた成果だと思う。

 

今振り返ればかなりの荒療治。

 

手も足も使って物凄く疲れたし、慣れない義足だから浅い傷もできていた。

 

でも、特にトラブルなく帰宅できて、結果オーライ。

 

この時は、足で歩くことよりも慣れることを優先に考えていた。

 

ライナーを履き続けるのが、思ったより大変だった。

 

義足生活は甘くないと、いきなり洗礼を受けた気分だった。

 




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